営業マンとさぼり|良いさぼり方と悪いさぼり方を元カーディーラー営業マンが語る

ディーラー裏話
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「営業マンって、外でさぼってるイメージがある」
「喫茶店で漫画読んでいそう」
「駐車場に車を止めて、よく寝てるよね」

こんにちは。元カーディーラー営業マンです。昔から外回りの営業マンは「さぼってる」印象が強いですよね。カーディーラー営業マンも例外ではありません。会社を一歩出れば、そこからは営業マン自身が管理する時間。どう使うかは本人の采配次第なので、ついついさぼってしまうことも……正直、あります。

カーディーラー営業マンは雇用形態こそ会社員ですが、仕事の内容は個人事業主に近いところがあります。実績さえ伴っていれば、決まったやり方はあるようでないのが実情です。今回は、私が現役時代に身をもって学んだ「悪いさぼり方」と「良いさぼり方」を、恥ずかしい失敗談も含めて包み隠さずお話しします。

上司の教訓「1日さぼれば、3日分の遅れになる」

新人時代、上司から教わった教訓に「営業マンのさぼり癖」の話があります。営業マンは一度会社を出れば自分の意志で仕事を進めていくので、意志の弱い営業マンはついついさぼってしまう。そして——

  • 1日さぼれば、3日分の仕事の遅れになる
  • 3日さぼれば、約10日分の遅れになる
  • 1ヶ月さぼれば、3ヶ月間影響を受ける

という話です。当時新人だった私は、この言葉を話半分に聞いていました。「まあ、そんなこともあるでしょう」程度に。それが数年後、身をもって思い知ることになります。

悪いさぼり方|喫茶店に逃げ込んだ新人時代の私

新卒で入社したカーディーラーでは、直販営業マン(一般ユーザー担当)はテリトリー(担当地域)を持っていて、土日の展示会以外はテリトリー内の既存ユーザーを中心に訪問活動をしていました(当時の訪問中心の営業スタイルはカーディーラー営業の販売スタイルはこう変わったで詳しく書いています)。

最初の1年は真面目にやっていました。ところが2年目になると要領が分かってきて、「車の購入決定権者であるご主人が家に帰る夕方から夜に集中して訪問すれば効率がいい」と考えるようになりました。では日中は何をしていたか。隣のテリトリーの同期営業マンたちと、お決まりの昼食から長すぎる喫茶店でのティータイム。気づけばほぼ夕方になっていました。

お客様と絶大な信頼関係を持つベテランなら、それでも回るのかもしれません。しかし駆け出しのペーペーの営業マンが、こんな生活でうまくいくはずがありませんでした。

さぼりのツケは「情報不足」としてやってくる

まず行き詰まったのは、訪問数の不足による絶対的な情報量の不足です。お客様の乗り換え・増車・紹介の情報が入ってこない。これではコンスタントに車は売れません。

さらに痛かったのは、車購入のキーパーソンである奥様とのコミュニケーションが取れていなかったことです。日中の訪問をさぼっていたのですから、当然です。ご主人への商談を後押ししてくれるのは、いつも家にいる奥様。「奥様に気に入ってもらえなければ車は売れない」を、私は骨身にしみて痛感しました。

結局、営業マンまる4年になる頃、ノルマ達成へのプレッシャーから、新卒で入社した会社を辞めてしまいました。このあたりの経緯はカーディーラー営業マンの離職率は本当に高いのか⁉で詳しく書いています。上司の言っていた「さぼりの複利」は本当でした。日々のさぼりは、気づいたときにはもう取り返せない遅れになっているのです。

再スタート|さぼる暇のない会社を、あえて選んだ

ディーラーを辞めて1年6ヶ月ほど別の仕事をしましたが、やはり車にまつわる仕事がしたい。やるなら、もう一度カーディーラー営業マンを今度はちゃんとやりたい。そう思ったのが24歳の夏でした。幸いなことに、電話で問い合わせた別メーカーのディーラーで専務自らが面接をしてくださり、経験者ということで採用していただけました。

新しい会社は以前より店舗がはるかに小さく、営業マンの人数も5分の1以下。前の会社では車検や点検の案内は巡回サービスの担当者に任せていましたが、今度は渡された約500人のユーザーの車検・点検を、全部営業マンが案内します。テリトリー制もなく、営業マンが少ないぶん平日の新規来店客にも多く当たる。同じカーディーラーでも仕事の密度が濃く、さぼる暇がありません。

私にとっては、これが逆に良かったのです。それを望んでの再スタートだったので、まさに願ったり叶ったりでした。……とはいえ、人間そう強くはありません。営業がうまくいかない時、トラブルが続く時は、やっぱりネガティブになります。上司や先輩に相談すればいいのですが、なんかちょっと言いにくい時ってありますよね。

良いさぼり方|「オピニオンリーダー」に会いに行く

そんなとき私を助けてくれたのは、相性の良いお客様(オピニオンリーダー)でした。

私の肌感で申し訳ないのですが、営業マンに好意を持ってくれるお客様は全体の約20%。逆に相性が合わないお客様も約20%。残りの60%は可もなく不可もなく、といったところです。この「好意を持ってくれる20%」の中でも、特に人生経験が豊富で人脈に長けた方が、私の言うオピニオンリーダーです。

車が思うように売れない時、トラブル続きで気持ちが沈んだ時、簡単な手土産(スーパーで売っているお饅頭とか、その程度です)を持ってオピニオンリーダーのお宅を訪問します。すると相手も察してくれるのか、家に上げてくれて雑談になります。

このとき、間違っても「車を買ってください」とは言いません。オピニオンリーダーは、本当に車が必要なときは必ず私に相談してくれると分かっているからです。それに彼らは何より話が上手で、聞いていて飽きません。まるでお客様のほうが営業マンのようなんです。こうして小一時間世間話をしていると、ネガティブだった自分が、少しポジティブに戻っています。そして後日、そのオピニオンリーダーから電話がかかってきて、新車のご紹介をいただくこともあるのです(紹介販売の成約率の高さは営業マンの車の売り方5つのアプローチで書いた通りです)。

同じ「お茶を飲む時間」でも、中身がまるで違う

お気づきでしょうか。新人時代の私も、再スタート後の私も、やっていることは「お茶を飲みながらの雑談」で同じです。でも中身がまるで違います。

  • 悪いさぼり:同期と喫茶店にこもる=現実逃避。仕事の情報はゼロ、時間だけが溶けて、遅れが複利で積み上がる
  • 良いさぼり:お客様と雑談する=人に会う。気持ちが回復し、信頼関係が深まり、時には紹介までいただける

同じお茶を飲みながら雑談するなら、仲間と現実逃避するのではなく、お客様とするのが正解だったのです。

まとめ|行き詰まったら、先を行く人に会いに行く

新人時代は現実逃避ばかりしていた私でしたが、「困った時に人に会う」ことで道が開けていきました。もちろん、会社の上司や先輩に相談するのが本筋です。でも私の場合は、あえてオピニオンリーダーの家に商談ではなく雑談をしに行く——いわば「さぼりに行く」ことが、結果的に良い方向につながりました。

これは営業マンに限った話ではないと思います。仕事でも人生でも、行き詰まった時は一人で抱え込まず、先を行く先輩に会って教えていただくことが、一歩進むきっかけになるのではないでしょうか。

※ひとつだけ注意点を。人に会いに行くということは、相手の貴重な時間をいただくということです。日頃の人間関係と、事前の連絡・了承が大前提。決して自分本位にならず、「教えていただく」という低姿勢を忘れないことが大切です。

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この記事を書いた人:元カーディーラー営業マン(現・再雇用サラリーマン)35年以上、カーディーラーの営業マンとして数千人のお客様の車選びをサポート。3年前に定年退職し、現在は同じ会社の別部署で勤務中。現場で見てきたリアルな情報を発信しています。

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