カーディーラー営業マンのノルマ事情について|元営業マンが本音で語る販売の裏側

ディーラー裏話
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「ディーラーの営業マンって、ノルマとかあるの?」
「毎月、車ってそんなに売れるの?」
「ショールームに買いに来たお客さんに売ってるの?」

これは私が現役営業マン時代に、何度となく聞かれた言葉です。結論を言えば全部正解なのですが、車は高額商品なだけに、内部事情はけっこう複雑です。

こんにちは。35年以上カーディーラーで営業マンをしてきた、再雇用サラリーマンです。今回の「ノルマ事情」は、みなさんにとって直接お得な情報ではないかもしれません。でも、カーディーラーの側面や営業マンの真の姿を知っていただくことで、今後の理解が深まり、お互いに良い関係になれれば——そんな思いで、この記事を書くことにしました。

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営業マンのノルマはどうやって決まるのか

営業マンのノルマ(販売計画台数)は、年末に翌年の年間販売計画台数 → 月間販売計画台数という流れで決まります。その大元には、メーカーからディーラー(法人)への年間販売計画台数の取り決めがあります。

  • ① メーカー → ディーラー(法人)…昨年度の実績をベースに決定。景気や新車の売れ行きで台数は上下します。
  • ② ディーラー(法人)→ 各拠点(店舗)…法人の計画台数を各店舗に振り分け。店舗の人員数の増減で調整します。
  • ③ 店舗 → 営業マン個人…各営業マンの前年実績をベースに販売台数を振り分け。

営業マンの月間台数も前年を参考にしますが、決算期や年末は多めの台数に設定されます。こうして、営業マンの年間計画と月間台数が決まっていくのです。

営業マンには3つのタイプがある

ひとくちに営業マンと言っても、担当する相手によって大きく3つに分かれます。

タイプ主な販売先特徴
直販(直接販売)営業個人のお客様メインみなさんがディーラーで接するのは、紹介がなければほぼこのタイプ
業販(業者販売)営業自動車屋(町のモータース)販売台数は多いが、1台あたりの利益率は低い
特販(特別販売)営業法人(銀行・保険会社・関連企業等)まとまった台数を扱う

業販営業や特販営業は、直販営業マンの2〜3倍、場合によってはそれ以上を販売します。ただし当然、1台あたりの利益率は直販より低くなります。

直販営業マンは年間何台売るのか

直販営業マンの年間販売台数は、地域・経験年数・既存の担当ユーザー数によって差が出ますが、おおよそ年間30〜150台。中央値は60〜90台で、月販にすると5〜8台になります。

項目目安
年間販売台数(直販)30〜150台(中央値60〜90台)
月販台数5〜8台
損益分岐点月販 約3〜5台

私の最初の記事でも触れましたが、国産ディーラーの車1台あたりの利益率は、メーカーや軽・普通車によって異なるものの、概ね車両本体価格の10〜15%前後。車両価格が大きい割に利益率は小さく、ここから値引きで削られます。販売する車やシステムによって差はありますが、営業マン一人当たりの損益分岐点は月販約3〜5台でしょう。

同じ高額商品でも、不動産の営業マンが2〜3ヶ月で数棟売れれば上出来なのに対し、車は1ヶ月で5〜8台の成果を出さねばなりません。成約〜納品のスパンが短いのです。来店客や紹介客によっては当日成約も珍しくない一方、1ヶ月以上かけて他社に取られることもよくあります。バブル期には毎月10台以上売る直販営業マンもかなりいましたが、少子高齢化の現在はなかなか難しいのが実情です。

直販営業マンは、どうやって車を売っているのか

メーカーや地域で差はありますが、直販営業マンは基本的に既存のお客様を約500〜800台保有・管理しています(自分で販売したユーザーや、辞めた・異動した営業マンからの引き継ぎユーザー)。中には1,000台以上を管理する営業マンもいます。

このユーザーに定期的に接触し、乗り換えを促します。10年に1度の乗り換えと仮定すれば、年間50〜80台の新車販売が望める計算です。ただしこれは100%成約できた場合の話。同じメーカーでも他ディーラーで買う人もいて、実際の成約率は平均60〜70%でしょう。60%なら30〜48台の成約となります。

足りない台数は「紹介」で補う

足りない分を補うのが、既存ユーザーからの紹介や増車です。これは成約率が高く、紹介者によってはほぼ100%成約ということもあります。ほかにも、営業マン自身の家族・身内・知人・友人の紹介、営業マンが繋がりを持つ業者(町のモータース)からの紹介などがあります。いずれにせよ、紹介販売の成約率は紹介者の質と、営業マンとの繋がりの強さが大きく関係します。

昔は古い車のユーザーや、業販課が手をつけていない業者へ飛び込み営業もしていましたが、今は効率やコンプライアンスの関係で飛び込み営業はやっていません。

一番簡単そうで一番難しい「新規来店客」

実は、一番簡単に成約できそうで一番難しいのが、新規の来店客からの成約です。

既存ユーザーの乗り換えや増車は、ある程度の人間関係と信頼があります。紹介も、紹介者を通じてある程度の信頼関係からのスタートです。ところが新規のお客様は信頼関係ゼロ、お互い探り合いからのスタート。営業マンがお客様のニーズを読み違えれば、商談はうまくいかず終了になります。

▶ 営業マンがどんな訓練で商談に臨むかは、営業マンのロールプレイング研修はなぜするのか?で詳しく解説しています。

カタログや実車確認だけで商談まで進まないお客様にも、車の説明にはしっかり時間を取られます。アンケートを書いていただいて試乗後に電話フォローしたら、架空の住所・電話番号だった……ということもたまにあります。商談まで進んでも、最後の最後で他ディーラーや他メーカーに取られるのは日常茶飯事。まさに資本主義社会の弱肉強食の世界が、新規来店客との商談なのです。

新人に新規客を任せる本当の理由

ベテラン営業マンが新人に新規来店客を商談させるのには、こういう側面もあります。成約は確率の問題で、数を当たれば必ず成約できるからです。純粋な成約率は能力によりますが約10〜30%。やはり数で勝負です。

そして、ベテランも面倒くさがって新規商談をしなくなると、武道の組手と同じで商談の腕が落ちます。ベテランでもロールプレイング研修を受ける理由が、ここにあるのです。

元営業マンからの助言|良い商談をするには

元ディーラー営業マンからの助言です。目当ての車のメーカーに乗っている信頼できる知人・友人、もしいなければ友人の友人でもかまいません。信頼できる紹介者を立てて商談に臨んでください。初めから信頼できる紹介者を立てれば、1回の商談で締結します

※信頼できる紹介者にこだわるのは、営業マンにとってもお客様にとっても、紹介者の質によって紹介される相手の質も変わるからです。

▶ もし紹介者が見つからない場合は、元カーディーラー営業マンが教える新車値引きの限界額とは?を参考にしてください。


まとめ

丁寧にお客様との関係を繋ぎ、絶えずニーズやカーライフに良い提案ができる営業マンには、新車・中古車を問わず乗り換えや増車、紹介が絶えません。残念ながら私はそこまでの域には到達できませんでしたが、人口減少・少子高齢化という逆風をものともせず、コンスタントに車を売り続けるトップ営業マンは確かにいます。

働き方改革による時短勤務や、コンプライアンスによる訪問活動の低下などを逆手に取り、AIやSNSを駆使して販売効率を上げる新しいスタイルの営業マンも、すでに出てきていると思います。結局、良い商品を適切な価格で提供し続けることが、カーディーラーの未来へと繋がると信じています。

この記事が参考になれば嬉しいです。楽しいカーライフをお過ごしください。

*「カーセンサーについてはこちらの記事で詳しく解説しています」

【カーセンサー.net】車検、廃車、愛車買取

この記事を書いた人:元カーディーラー営業マン(現・再雇用サラリーマン)35年以上、カーディーラーの営業マンとして数千人のお客様の車選びをサポート。3年前に定年退職し、現在は同じ会社の別部署で勤務中。現場で見てきたリアルな情報を発信しています。

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