カーディーラー営業マンの車の売り方を解説‼|元営業マンが明かす5つのアプローチ

ディーラー裏話
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「ディーラー営業マンって、どうやって車を売ってるの?」
「車って簡単に売れるの? 売れないの?」
「ショールームの店頭販売がメインなの?」

お客様から見ると、綺麗なショールームでスーツに身を包んで接客するカーディーラー営業マンは、あくせくせず余裕で毎月のノルマをこなしているように映るかもしれません。こんにちは。35年以上カーディーラーで営業マンをしてきた、再雇用サラリーマンです。今回は、その「車の売り方」の裏側を本音で解説します。

▶ カーディーラー営業マンのノルマ事情については、こちらの記事で詳しく説明しています。

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直販営業マン(個人のお客様に直接販売する営業)の月間販売計画台数は、都市部・地方で差はありますが中央値で約5〜8台、年間で約60〜100台です。業者(町のモータース)を多く持つ営業マンは年間150台を超えることもあり、業販との線引きは結構曖昧です。

業者の紹介に頼らず毎月5〜8台をコンスタントに売るのは、実は大変なこと。メーカーや立派なショールームの後ろ盾があっても、200万〜1,000万円超の高額商品はそう簡単には売れません。単月なら売れる時もありますが、毎月となると地道な努力と戦略が必要です。ここからは、純粋な直販スタイルでの売り方を5つに分けて解説します。

①お客様が乗り換えるきっかけを考える

まず、既存の保有ユーザー(中央値で約500〜800台)からの乗り換えを考えます。車を乗り換える際、車検の前に乗り換える人は少なくありません。車検費用を払わずに済ませたい人や、修理費が増えそうな車に乗っている人に多いです。

  • 車検費用を節約したい…車検前に売却すれば次の車検代を回避できる
  • 修理費が増えそう…ブレーキ、タイヤ、バッテリーの交換が重なると高くつく
  • 下取り価格がまだ残っている…新車から3年目や走行距離が伸びる前は売りやすい
  • ライフスタイルが変わった…家族構成や通勤距離の変化で車を見直す
乗り換えの理由比率
車検のタイミング・費用の削減24.7%
事故・故障・不具合・老朽化18.2%
新型車や他車種への興味15.6%
家族構成やライフスタイルの変化12.5%
定めた年数・走行距離の到達11.0%
燃費や維持費の改善(経済性)10.2%
契約満了(残クレ・リース等)・下取り価格が高かった7.8%
※日本自動車工業会(JAMA)の乗用車市場動向調査や各種自動車購買行動データに基づき、複数回答や詳細な動機を反映した構成比(目安)となってます。
※個々のアンケートや調査対象(新車派、中古車派、保有年数)によって多少の変動があります。

車検が乗り換えの大きなタイミングであることを、営業マンはよく理解しています。6ヶ月に一度の法定点検の案内を絡めながら、早ければ車検のタイミングで「車検せずに乗り換え」を提案。ダメなら6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、車検2〜3ヶ月前と、お客様に嫌われないタイミングでアプローチしていきます。

②乗り換えの周期を考えてアプローチする

車を何年で乗り換えるかは調査で少し違いますが、よく出るのは3年・5年・7年・10年・13年以上です。

乗り換え年数傾向
13年以上9.2%
8年~12年(10年前後)24.6%
6年~7年(7年目)8.7%
4年~5年(5年目)21.6%
3年以下(3年目含む)9.1%
2年以内26.8%
※日本自動車工業会(JAMA)の乗用車市場動向調査や市場アンケートデータをベースに算出した、一般的な乗り換え年数の割合です。

10年前後・13年以上の長期ユーザー

車に関心が薄い人や、生活で車の優先順位が低い人は10年前後・13年超と長く乗る傾向があります。お子さんの大学進学など「掛かり時」もこのパターン。法定点検や車検でアプローチはしますが、このタイプの人は自分で腹落ちしないと乗り換えません。強引に提案せず、友人・知人への紹介依頼をしながら、お客様のタイミングを待ちます。

なお「車の寿命は10年10万km」は昔からの迷信のようなもので、現在の車はきちんと整備していればまず壊れません。

車の寿命は本当に10年10万㎞?の記事で詳しく説明しています。

では、なぜ24%以上の人が10年前後で乗り換えるのか。「10年10万kmが寿命」という言葉が今も世間に浸透している(販売側の責任でもありますが)からです。ただ10年という歳月は、家族構成(子供の誕生・独立)、趣味・ライフスタイル、通勤距離や使用目的が大きく変わる場合があります。営業マンはそこを把握したうえで「もう10年10万kmですから」と乗り換えの提案書を出します。今の車に飽きて新型に乗り換えたいお客様もいるので、現在のニーズに合った車を提案します。

7年目ユーザー

3回目の車検とメーカー延長保証が切れるタイミングです。走行距離が多い方(10万km以上)や、そろそろ飽きてきたユーザーの乗り換えを想定し、1年前・6ヶ月前にアプローチ。乗り換えがなければ法定点検や車検の案内に切り替えます。

3年目・5年目ユーザー

残クレユーザーや、短期間で効率よく乗り換える方に向けて新型車を中心に勧めます。残クレの場合は、残価設定金額が残債とプラマイゼロか上回っているユーザーを調べたうえでアプローチ。毎月の支払額が大きく増えなければ、車検を受けずに新型に乗り換えられるので、効率よく乗りたい方にはまります。現金で買われた方も3〜5年は効率よく下取りできる期間なので、同様に車検の1年前・6ヶ月前にアプローチします。

まれに3〜5年を待たず、2年以内で乗り換えるユーザーもいます。急な転勤やもらい事故による全損以外で乗り換える人は基本的にお金に余裕がある方が多いです。下取りのリセールが高ければ乗り換える確率は高いので、新型車発表後やマイナーチェンジ後にアプローチ。点検やオイル交換の来店時に、現有車の査定から勧めます。新型車の試乗も効果的です。

最近はコンプライアンスの関係で営業マン側からの訪問が減っているため、お客様が点検・修理で来店された時が、査定や試乗を絡めたアプローチのチャンスです。新型車の試乗で興味を持っていただき、現有車の査定で現実的な見積書へ進めます。ここで保留になっても、3年目・5年目で乗り換える方は多いです。

③増車のタイミングを読む

  • 家族構成が変わったとき
  • 通勤や送迎で車がもう1台必要になったとき
  • 既存車の故障・車検前で、1台では回しにくくなったとき
  • 仕事用と私用で分けたいとき

お客様に長く関わっていれば、ライフスタイルの変化は必ずあります。会話のなかから家族構成や他メーカー車両の情報を記録しておき、タイミングで提案します。信頼関係ができていれば、お客様の方から声がかかります。成約の確率は60〜80%と高いです。

④ご紹介をいただく

車そのものや店舗、スタッフ、営業マンを気に入っていただければ、高確率で購入者を紹介していただけます。紹介が出やすい納車後6ヶ月以内に、しつこくならない程度に定期的に依頼します。納車時、初回1ヶ月無料点検、納車後3ヶ月の調子伺い、6ヶ月無料点検などのタイミングで、こうお願いします。

「お客様の知人や友人でお車を検討の方がいらっしゃいましたら、情報だけで結構ですので是非ご紹介ください。ご紹介いただけましたら、お客様の顔が立ちますように精一杯頑張らせていただきます」

商談中のテクニックとしては、お客様から最後に値切られた時に「わかりました。この金額にさせていただく代わりに、一つお願いがあります。納車後に車を気に入っていただけましたら、1年以内に新車でも中古車でも結構ですので、1台だけご紹介ください」とお願いする方法もあります。本当に気に入っていただければ、1年に何台も紹介が発生します。紹介者にもよりますが、紹介の成約率は50〜100%と非常に高いです。

⑤新規来店客との商談

意外と思われるかもしれませんが、一番成約率が低いのが新規来店客との商談です。純粋な成約率は10〜30%といったところでしょう。

新規来店客は千差万別。これから資料を集めて各社を比較検討する方もいれば、すでに数社を廻って試乗・査定・見積もりを終えた方もいます。前の店舗や営業マンと相性が合わず、たまたま当社で相性が合えば1時間以内で成約できることもありますが、その逆もあります。やはり数で勝負するのが新規来店客との商談です。

▶ 新車値引きについては、元カーディーラー営業マンが教える新車値引きの限界額とは?を参考にしてください。

そもそも、本当に乗り換えが必要か

営業マンは法定点検や車検をベースに乗り換えを勧めます。しかし最近の国産車は定期的なメンテナンスと消耗品交換をしていれば、軽自動車で20万km以上、普通車で30万km以上十分走れます。元カーディーラー営業マンの私が言うのもなんですが、買い替えるかどうかは、浪費と割り切って買うか乗り続けるかだけ。今の自分に本当に必要かどうかを、よく判断してから購入してくださいね

浪費として買う場合でも、子供が出来てミニバンが必要になったり、若い時に彼女、彼氏とスポーツカーで海や山にドライブしたり、その時その年代でないと車の価値が発揮されない場合があります。人生の楽しかった良い思い出は資産としてずっと楽しむ事ができます。そういう時は予算の範囲内で是非購入してください。
逆に自分に必要かよりも、他人の目を気にして車を買う人もいらっしゃいますが、購入しても満足度は低いので割り切って買う覚悟が必要です。


まとめ|AI時代に営業マンができること

自動車販売は景気の影響を受けやすい業界です。しかし生活に密着し、日々の移動や荷物の運搬になくてはならない商品でもあります。少子高齢化で国内販売台数は低下傾向。そしてAIの進化は目覚ましく、見積もりや車の説明、ニーズへの提案は、人間より早く正確にできるようになるでしょう。

では、これからの営業マンに求められるものは何か。それは「感情・信頼・現場の柔軟さ」です。AIは情報提供やデータ分析が得意ですが、次の点は人間にしかできません。

できること人間ならではの価値
顧客の本音を引き出す表情や態度、雰囲気から潜在ニーズをくみ取る
信頼関係を築く長時間の対話やフォローで長期的な信頼を作る
感情を動かして決断を後押し不安や期待に寄り添い、最終決断を促す
複雑な交渉・調整予算、ローン、下取り、保険、納期を横断して調整
臨機応変な対応状況が変わったとき、ルール外で柔軟に解決
社内稟議突破・関係構築価格・特約・納車優先を社内調整して実現
現場の質・雰囲気接客の温かみ、フレンドリーさ、顧客目線の姿勢

AIにできない核心は、「顧客の本音を引き出し、信頼を築き、感情を動かし、決断を後押しすること」です。自動車販売では特に、試乗体験のサポート、複雑な交渉・社内調整、顧客の生活に合わせた設計提案が、営業マンにしかできません。

時代はどんどん変化していますが、SNSやAIはお客様との絆を深める便利なツールとして活用し、これからもカーディーラーや営業マンがお客様にとって信頼できる関係になれれば幸いです。この記事が参考になれば嬉しいです。楽しいカーライフをお過ごしください。

*「カーセンサーについてはこちらの記事で詳しく解説しています」

【カーセンサー.net】車検、廃車、愛車買取

この記事を書いた人:元カーディーラー営業マン(現・再雇用サラリーマン)35年以上、カーディーラーの営業マンとして数千人のお客様の車選びをサポート。3年前に定年退職し、現在は同じ会社の別部署で勤務中。現場で見てきたリアルな情報を発信しています。

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