中古車は、なぜ「リセールが低い高品質な5年落ち」が最強なのか?元カーディーラー営業マンが解説

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皆さんこんにちは、元カーディーラー営業マンです。昨今は新車もスマホも価格高騰ラッシュで、もろにインフレの影響を実感するようになりましたね。

日本は30年以上続いたデフレの時代が終わり、インフレのフェーズに移りました。この価格高騰は一時的なものではなく、これからも続くと思われます。物価の上昇に所得のアップが追いついていない今、一般のサラリーマンの方が新車のハイエンドモデルを定期的に買い続けるのは、厳しい時代になってきました。

そこで見直してほしいのが中古車です。以前の記事で触れた「リセールバリューの低い車は中古で買うとお得」という話と、「10万kmは車の寿命ではなく折り返し地点」という話。この2つを踏まえて、今回はインフレ時代だからこそ買う中古車にクローズアップして解説していきます。

先に結論を書いておきます。

  • どんなに高い車でも、車の寿命はそう大きく変わらない。そして多くの車の価値は10年前後でほぼゼロになる
  • 「リセールが低い」は、中古で買う人にとっては「値下がりしきっている」ということ
  • 狙い目は5年落ち・5万km前後。7年落ちとの価格差は、1年あたりにするとそれほど大きくない
  • メンテナンスをすれば15万km、20万kmは十分に走れる。5年落ちを10年乗るのは無理のない計画
  • 浮いた予算は、旅行や思い出づくり、自己投資に回す

新車も中古車も高くなった時代に、それでも中古車を勧める理由

まず数字で今の状況を確認しておきます。

項目数字出典
消費者物価指数(2026年8月)前年同月比 +1.9%総務省
新車の平均購入価格(普通車)331万円日本自動車工業会 2025年度調査
新車の平均購入価格(軽自動車)196万円同上

物価はじわじわ上がり続け、新車は普通車で平均331万円の時代です。インフレと家計、新車の値段がなぜここまで上がったのかは、別の記事で詳しく書きました。

ここで正直にお伝えしておくと、中古車の相場も、ここ数年で大きく上がって高止まりしています。円安で日本の中古車の輸出需要が強いことなどが理由です。「中古車なら何でも安い」という時代ではありません。

だからこそ、どの中古車を選ぶかで差がつきます。その答えが、今回のテーマの「リセールが低い、高品質な5年落ち」です。

高い車でも、寿命はたいして変わらない

35年以上、何千台もの車を売り、下取りしてきた私の実感です。どんなに高い車でも、車の寿命はそうたいして変わりません。そして多くの車の価値は、10年前後でほぼゼロになります。

今の新車価格高騰の時代に、一般のサラリーマンの方がハイエンドモデルの新車を追い求め続けるのは、毎年iPhoneを新しいモデルに買い替えるようなものです。車の基本的な性能は、5年くらいでは劇的には変わりません。

新車を買うのが間違い、という話ではありません

誤解のないように書いておきます。新車を買うこと自体を否定しているわけではありません。

以前の記事でも書いたとおり、純粋に移動の道具として考えるなら、状態の良い中古車を長く乗るのが経済的な正解です。でも、車は損得の計算だけで選ぶものではありません。誰も座っていないシートの匂い、最新の安全装備で家族を乗せる安心感、自分で選んだ色の車が納車される日の高揚感。本当に乗りたい1台を、浪費と割り切って新車で買うのは、立派なお金の使い方です。

私が勧めないのは、ハイエンドモデルの新車を何台も続けて追いかけることです。生涯で新車は3回くらいでいい、そのうち1回は浪費に振っていい、というのが私の考えです。それ以外の時期に乗る車を、今回の5年落ちの中古車でまかなう。これが一番バランスの良い組み合わせだと思っています。

「リセールが低い」は、中古で買う人には「値下がりしきった」ということ

リセールバリューの記事で、私はこう書きました。リセールが低い車は、中古で買う側から見れば、前のオーナーが値下がり分を負担してくれた車だと。

例えば新車500万円のセダンが、数年落ちで200万円になっていたとします。前のオーナーは300万円分の値下がりを負担しています。あなたは200万円で、新車のときは500万円クラスだった静かさや乗り心地、装備を手に入れられるわけです。

リセールが低くなりやすい車のタイプ

値落ちしやすいのは、車の出来が悪いからではありません。多くは「人気の偏り」が理由です。

タイプ値落ちしやすい理由中古で買うメリット
セダン・高級セダンSUVやミニバンに人気が移り、中古の需要が少ない静かさ・乗り心地・装備の質が高い車が割安で手に入る
ステーションワゴン・ハッチバックSUVブームで人気が分散している荷物がしっかり載り、重心が低く運転しやすい
モデルチェンジ後の旧型新型が出ると旧型の相場が一段下がる中身はほぼ同じでも、見た目が一世代前というだけで安い
白・黒・シルバー以外の色定番色以外は買い手が限られる性能も状態も同じで、色だけで安くなることがある
輸入車維持費や故障への不安から手放す人が多い憧れのブランドに安く乗れる。ただし維持費に注意(後述)

逆に、人気のミニバンやSUV、ジムニーのような趣味性の高い車は、5年落ちや7年落ちでも値段がなかなか下がりません。中古でも安さを実感しにくい代わりに、売るときも高く売れる車です。

つまり、数年で売るつもりならリセールの高い車、長く乗り潰すつもりならリセールの低い車が有利です。今回お勧めしているのは、後者の買い方です。

なぜ「5年落ち」なのか|7年落ちと比べてみる

中古車の狙い目としてよく挙がるのが、「5年落ち・5万km」と「7年落ち・7万km」です。新車から3年目で最初の車検、その後は2年ごとなので、5年落ちは2回目、7年落ちは3回目の車検の時期にあたります。車検を機に手放す人が多いので、この年式は中古車市場に出てくる台数も多くなります。

比べる点5年落ち・5万km前後7年落ち・7万km前後
価格新車からかなり下がっているさらにもう一段安い
消耗品の交換まだ少ない(タイヤ・バッテリー程度)ブレーキやゴム部品などが増え始める
故障のリスク低いじわじわ上がる
安全装備の世代より新しい2年分古い
向いている人長く安心して乗りたい人とにかく初期費用を抑えたい人、整備を安く頼める工場がある人

1年あたりにすると、差はそれほど大きくない

分かりやすくするために、仮の数字で比べてみます。新車300万円クラスの車を、どちらも「15年落ち・15万km」まで乗る前提です。実際の価格は車種や相場で大きく変わるので、あくまで考え方の例として見てください。

プラン車両価格(仮)乗る年数1年あたり
5年落ち・5万kmを買って10年乗る140万円10年約14.0万円
7年落ち・7万kmを買って8年乗る100万円8年約12.5万円

車両代だけなら、1年あたりの差は1.5万円ほどです。7年落ちのほうが少し安く見えますが、この差は、買ってすぐのタイヤ交換や、途中の修理1回分であっという間に埋まってしまう程度の金額です。

そのうえで5年落ちには、状態の良い時期を長く使えるという大きな利点があります。最初の5年ほどは消耗品の交換くらいで、大きな出費がほとんどありません。

見落としがちなのが「安全装備の世代」

私が5年落ちを勧めるもうひとつの理由が、安全装備です。

衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)は、国産の新型車で2021年11月から、継続して生産されている車で2025年12月から装備が義務になりました。義務になる前から付いている車も多いのですが、年式が新しいほど、夜間の歩行者や自転車への対応など性能の世代も新しくなります。

10年乗るつもりの車です。2年分新しい安全装備は、年1.5万円の差よりずっと価値があると私は考えています。中古車を選ぶときは、どんな安全装備が付いているかを必ず確かめてください。

何万kmまで乗れるのか|10万kmは折り返し地点

「中古車は距離を走っているから心配」という方は多いと思います。でも、今の国産車はきちんとメンテナンスをすれば20万km、30万kmと走れるものが珍しくありません。以前の記事でも書きましたが、私の2000ccのミニバンは31万kmを超えました。

走行距離ごとの状態は、おおむね次のような目安です。

走行距離状態の目安
〜10万km折り返し地点の手前。基本の整備をしていれば大きなトラブルは少ない
10万〜15万km大きめの整備の時期。足回りのゴム部品やショックアブソーバー、発電機などの交換が出てくる
15万〜20万kmホース類の劣化や各種センサーの故障が増える。壊れたところを直しながら乗る時期
20万km〜エンジンや変速機などの大物にガタが出始め、修理代と車の価値を比べて判断する時期

車は、エンジンが寿命を迎えて走れなくなることはめったにありません。実際には「高い修理代を払ってまで乗るかどうか」で終わりが決まります。5年落ち・5万kmを買って10年乗り、15万km前後で手放す計画なら、車の寿命から見て十分に余裕があります。

▶ なぜ「10年10万kmが寿命」と言われるようになったのか、その歴史と本当の寿命は車の寿命は本当に10年10万㎞?で詳しく書いています。

長く乗るために欠かせない3つのメンテナンス

  • エンジンオイルの定期交換。これが一番大事です。交換の時期は車種で違うので、取扱説明書の目安を守ってください
  • 冷却水の管理。オーバーヒートはエンジンに致命的なダメージを与えます。車検ごとの点検を欠かさずに
  • 変速機のオイル(ATFやCVTフルード)。変速機の修理は数十万円かかることがあります。交換の要否と時期は車種ごとに違うので、整備工場に相談してください

ハイブリッド車は、エンジンの負担が少ないぶん長持ちしやすい一方で、距離が延びると駆動用バッテリーの交換が必要になることがあります。長く乗るつもりなら、購入前に費用の目安を販売店に聞いておくと安心です。

13年を過ぎると税金が上がることも計算に入れる

5年落ちを10年乗ると、最後の2年ほどは新車登録から13年を超えることになります(ディーゼル車は11年)。自動車税はおよそ15%、自動車重量税は車検のたびに約4割上がります。

ただ、3年分の増税を合計しても数万円程度です。数百万円の乗り換えの理由になるほどの金額ではありません。このあたりの計算は、新車の買い方の記事で詳しく書いています。

失敗しない中古車の買い方|元営業マンが見るポイント

ここからは、実際に中古車を選ぶときの手順です。

① 「支払総額」で比べる

2023年10月から、中古車の販売価格は「支払総額」で表示することがルールになりました。車両価格に、税金や保険料、登録の費用などの諸費用を加えた金額です。

以前は、広告では安い車両価格だけを見せて、商談の段階で高い諸費用を上乗せするお店が一部にありました。今は総額で比べられるので、まず支払総額で予算に合う車を絞るのが基本です。ただし、登録する地域や時期によって総額が変わることがあるので、最終的な見積もりは必ず確認してください。

② 修復歴は「なし」を選ぶ

修復歴とは、事故などで車の骨格(フレーム)部分を修理した経歴のことです。バンパーやドアの小さな傷を直した程度は、修復歴には入りません。

骨格を直した車は、まっすぐ走らない、雨漏りがするといったトラブルが後から出ることがあります。10年乗るつもりなら、修復歴なしを選んでください。第三者の検査機関による車両状態の評価書が付いている車なら、なお安心です。

▶ 査定のプロが修復歴をどうやって見抜くのかは下取り価格の謎|ディーラー査定の仕組みを元カーディーラー営業マンが徹底解説で、現場の着眼点を書いています。

③ 整備記録簿があるかを確かめる

前のオーナーが、オイル交換や点検をきちんと受けていたかが分かるのが整備記録簿です。同じ5万kmでも、記録簿がしっかり残っている車と、何も分からない車とでは、この先の安心感がまるで違います。記録簿がない車は、私なら避けます。

④ 明るい時間に、実車を見て試乗する

見る場所チェックすること
外装パネルごとの色の違い、すき間のゆがみ、タイヤの溝とひび割れ、下回りのサビ
内装・においタバコ・ペット・カビのにおい(消すのが難しい)、シートのへたり、エアコンやパワーウィンドウなどの動作
エンジンルームオイルのにじみや漏れ、冷却水の量、バッテリーの製造時期
試乗エンジンの異音、変速のときのショック、まっすぐ走るか、ブレーキの効き

夜や雨の日は、ボディの色の違いや小さな傷が見えにくくなります。晴れた日の昼間に見に行ってください。

⑤ 保証の中身を確認する

エンジンや変速機などの大事な部品が、どのくらいの期間、どこまで保証されるのかを確かめてください。目安として、1年間・走行距離無制限くらいの保証が付くお店なら安心です。保証の範囲はお店によってかなり違うので、「何が対象外か」まで聞いておくことをお勧めします。

未使用車という選択肢も

ナンバー登録だけされて、ほとんど走っていない未使用車(いわゆる新古車)も、新車より安く買える選択肢です。ただ、今回お勧めしている「値下がりしきった5年落ち」とは考え方が違います。未使用車の見方は、別の記事で正直に書きました。

輸入車の中古は、安く買えても維持費は「新車の値段」基準

リセールが低い車の代表が輸入車です。数年落ちで、新車の半額近くまで下がっている車もあります。ただ、ここは元営業マンとしてはっきり言っておきます。

車は安く買えても、修理代や部品代は「新車のときの値段の車」の基準でかかってきます。

  • 部品代が高い。海外から取り寄せる部品が多く、国産車ほど安い再生部品も出回っていません
  • 工賃が高い。専用の診断機や工具が必要で、作業料が国産車より高めに設定されていることが多い
  • ハイオク指定が多い。燃料代がじわじわ効いてきます
  • 予防交換が前提の設計。車検のたびに交換を勧められる部品が多く、点検代が高くなりがちです

輸入車の中古を選ぶなら、毎年の修理・整備の予備費を別に積んでおけるかを先に考えてください。輸入車の整備が得意な民間の工場を見つけておくと、費用をかなり抑えられることもあります。「10年乗り潰す」という今回の買い方には、基本的には国産車のほうが向いています。

中古車を探すなら、まず相場を知るところから

気になる車種が決まったら、まず中古車検索サイトで、年式・走行距離・支払総額の相場を見てください。同じ車種でも、年式や色、グレードでどれくらい値段が違うのかが分かります。

使うときに知っておいてほしいことがあります。

  • 相場を見るだけなら、問い合わせる必要はありません。問い合わせたり見積もりを頼んだりすると、販売店から電話やメールが来ます
  • 写真だけで決めないこと。気になる車が見つかったら、必ず実車を見て、試乗させてもらってください
  • 「修復歴なし」「記録簿あり」「保証付き」で絞り込むと、候補が一気に良くなります

私がお勧めしているのはカーセンサーです。掲載台数が多く、支払総額や修復歴、保証の有無で絞り込めるので、相場をつかむのに向いています。

\車買取、中古車探し、カーセンサー/の公式サイトを見る
カーセンサーnet

まとめ|浮いた予算で、人生をもっと豊かに

  • どんなに高い車でも寿命はそう変わらず、多くの車の価値は10年前後でほぼゼロになる
  • リセールが低い車ほど、中古で買う人にとってはお得。長く乗り潰すなら特に
  • 5年落ちと7年落ちの差は1年あたりにすると小さく、状態の良さと安全装備の新しさで5年落ちに分がある
  • 10万kmは折り返し地点。5年落ちを10年乗る計画は十分に現実的
  • 買うときは支払総額・修復歴なし・記録簿・実車確認・保証の5つ
  • 輸入車は、買ったあとの維持費まで考えてから
  • 新車を否定する話ではない。本当に乗りたい1台は、浪費と割り切って新車もあり

リセールバリューが低く、高品質な5年落ちの中古車を上手に取り入れる。そうして余った予算を、旅行などの家族や自分の経験、思い出づくり、または自己投資に使えば、人生はもっと豊かになるかもしれません。

この記事が参考になれば嬉しいです。それでは、良いカーライフをお送りください。


この記事を書いた人:元カーディーラー営業マン(現・再雇用サラリーマン)35年以上、カーディーラーの営業マンとして数千人のお客様の車選びをサポート。3年前に定年退職し、現在は同じ会社の別部署で勤務中。現場で見てきたリアルな情報を発信しています。

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