「私の車は3ナンバーだけど、1500ccだよ」
「僕のミニバンも全長5m近くあるけど、1500ccですよ」
「私の車は3ナンバーの電気自動車なんだけど、自動車税がよく分からない」
最近、こういう会話をよく耳にします。そしてどれも正しいのです。
昭和の時代からあった5ナンバー・3ナンバーという区分は、ダウンサイジングターボやハイブリッド、電気自動車の登場、そして各メーカーの販売車両のグローバル化によって、意味合いがすっかり変わってしまいました。
私が営業マンになった1980年代、3ナンバーは本当に「高嶺の花」でした。あのころの感覚のままでいると、いまの車選びで判断を間違えます。
この記事では、35年以上カーディーラーで営業マンとして働いてきた私が、5ナンバーと3ナンバーの違い、そして今の車選びで本当に見るべきポイントをお話しします。
先に結論|見るべきは「ナンバー」ではなく「全幅」です
長い記事になりますので、先に結論をお伝えします。
- 「3ナンバーだから税金が高い」は、もう完全に間違いです。1989年に仕組みが変わりました
- 自動車税は排気量で決まります。2,000cc以下なら、ボディがどれだけ大きくても税額は同じです
- だから今は「大きなボディ×2,000cc以下」が新車の主流になっています
- 車選びで本当に見るべきは全幅の数字。全長より、こちらが生活を左右します
最後の一つが、この記事で一番お伝えしたいことです。順番にご説明します。
5ナンバーと3ナンバー、どこで分かれるのか

ナンバープレートの上のほうに書かれている「分類番号」が、5で始まるか、3で始まるかの違いです。
基準はこうなっています。
| 項目 | 5ナンバー(小型乗用車) | 3ナンバー(普通乗用車) |
|---|---|---|
| 全長 | 4.7m以下 | 4.7m超 |
| 全幅 | 1.7m以下 | 1.7m超 |
| 全高 | 2.0m以下 | 2.0m超 |
| 排気量 | 2,000cc以下 | 2,000cc超 |
ここが大事なところです。5ナンバーになるには、4つすべてを満たす必要があります。ひとつでも超えたら3ナンバーです。
ですから「排気量は1,500ccなのに3ナンバー」という車が普通に存在します。全幅が1.7mを1cmでも超えていれば、その時点で3ナンバーだからです。冒頭のお客様の話は、まさにこれです。
なお電気自動車(EV)には排気量という概念がないので、ボディサイズだけで判断されます。
なぜこんな区分ができたのか
理由① 日本の道が狭かったから
日本の住宅街の道、昔からある立体駐車場、こういったものは「全幅1.7m以下」を前提に設計されているところが多くあります。
つまり「5ナンバー=日本で扱いやすいサイズ」という、分かりやすい目印として機能してきたわけです。
理由② 昔の税金が、桁違いに高かったから
こちらが本題です。1989年(平成元年)の消費税導入より前、3ナンバー車には非常に高額な税金がかかっていました。
当時の自動車税を並べてみます。
| 区分 | 排気量 | 1年あたりの自動車税(自家用) |
|---|---|---|
| 5ナンバー | 1,000cc超〜1,500cc以下 | 34,500円 |
| 5ナンバー | 1,500cc超〜2,000cc以下 | 39,500円(小型車の最高額) |
| 3ナンバー | 2,000cc超〜3,000cc以下 | 81,500円 |
| 3ナンバー | 3,000cc超〜6,000cc以下 | 88,500円 |
| 3ナンバー | 6,000cc超 | 148,500円 |
ご覧ください。2,000ccをわずかでも超えた瞬間、39,500円から81,500円へ、倍以上に跳ね上がるのです。
当時の物価と給料を考えると、これは相当な負担でした。ですから個人で3ナンバー車を持つことは、まさにステータスだったのです。街で見かける3ナンバーの多くは、会社の役員車やハイヤーでした。
さらに「物品税」というものがありました
若い方はご存じないと思いますが、物品税という税金がありました。消費税の前身にあたるもので、贅沢品や嗜好品にだけかかる税金です。
車にかかっていた税率がこちらです。
- 3ナンバー車(普通乗用車)…23%
- 5ナンバー車(小型乗用車)…18.5%
新車価格に対して、これだけの割合が上乗せされていました。高い自動車税と、高い物品税。この2つが重なって、3ナンバー車は本当に手の届かない存在だったのです。
物品税は1989年4月の消費税導入と同時に廃止されました。理由は2つあります。カラーテレビもエアコンも自動車も一般家庭に普及して「贅沢品」という基準が時代に合わなくなったこと。そして、特定の物だけに重く課税する方式から、すべてに広く薄く課税する消費税へ一本化するためです。
同時に自動車税も、500ccごとの細かい区分に改められました。この改正で3ナンバー車の税額は大幅に下がり、いまの普及につながっています。
▶ 私が営業マンになった1982年から今日までに、車と日本人の関係がどう変わってきたかは【50記事目】車のトレンドの変化を探る|1982年〜2026年の44年史と未来予測で通して振り返っています。
今は「3ナンバーだから税金が高い」は完全に間違いです
ここが一番の誤解ポイントです。はっきり申し上げます。
現在の自動車税は、ボディサイズとまったく関係ありません。エンジンの排気量だけで決まります。
ですから「1,500ccの3ナンバー車」と「1,500ccの5ナンバー車」の自動車税は、1円も変わりません。
現在の自動車税(種別割)一覧
2019年(令和元年)10月1日の税制改正で、それ以降に新車登録された車は税額が引き下げられています。ご自分の車がどちらか、車検証の初度登録年月で確認してください。
| 排気量 | 2019年10月1日以降に新車登録 | 2019年9月30日以前に新車登録 |
|---|---|---|
| 1,000cc以下 | 25,000円 | 29,500円 |
| 1,000cc超〜1,500cc以下 | 30,500円 | 34,500円 |
| 1,500cc超〜2,000cc以下 | 36,000円 | 39,500円 |
| 2,000cc超〜2,500cc以下 | 43,500円 | 45,000円 |
| 2,500cc超〜3,000cc以下 | 50,000円 | 51,000円 |
| 3,000cc超〜3,500cc以下 | 57,000円 | 58,000円 |
| 3,500cc超〜4,000cc以下 | 65,500円 | 66,500円 |
| 4,000cc超〜4,500cc以下 | 75,500円 | 76,500円 |
| 4,500cc超〜6,000cc以下 | 87,000円 | 88,000円 |
| 6,000cc超 | 110,000円 | 111,000円 |
知っておくと得をする点を3つ挙げます。
- 電気自動車(EV)・燃料電池車(FCV)は、排気量の概念がないため一番安い区分(25,000円)が適用されます。冒頭の「3ナンバーのEVの税金が分からない」というお客様の答えがこれです
- 軽自動車は排気量に関係なく一律です。2015年4月1日以降の新車登録で年10,800円、それ以前なら7,200円
- 新車登録から13年が経過したガソリン車・ディーゼル車は、約15%(軽自動車は約20%)重課されます。EVや一部のハイブリッドは対象外です
13年重課は、営業の現場でもよく説明した話です。1.5Lの旧税率34,500円の車が、13年目から約39,600円になります。「まだ乗れるのに税金だけ上がっていく」——買い替えを考えるきっかけとして、この時期に相談に来られる方は多かったです。
ただし「重量税」は、大きい車ほど高くなります
ここは正直にお伝えしておかなければなりません。
自動車税はボディサイズと無関係ですが、車検のときに払う自動車重量税は「車両重量」で決まります。0.5トン刻みで上がっていきます。
| 車両重量 | エコカー(本則税率) | エコカー非対象(13年未満) |
|---|---|---|
| 〜0.5t | 5,000円 | 8,200円 |
| 〜1.0t | 10,000円 | 16,400円 |
| 〜1.5t | 15,000円 | 24,600円 |
| 〜2.0t | 20,000円 | 32,800円 |
| 〜2.5t | 25,000円 | 41,000円 |
| 〜3.0t | 30,000円 | 49,200円 |
※自家用乗用車の2年分(車検1回分)です。エコカー減税で免税になる車は0円です。13年、18年と経過すると段階的に高くなります。軽自動車は重量に関係なく一律です。
表を見ていただくと分かるとおり、2トン級の大型ミニバンは、1トン級のコンパクトカーの約2倍になります。あとで触れる新型エルグランド(約2.2トン)のような車は、自動車税は1.5L枠で安く済んでも、車検のときの重量税はしっかりかかるということです。ここは大きい車を選ぶうえで避けられないコストです。
ただし誤解のないように申し上げると、昔の「3,500ccの大型車」に比べれば、ダウンサイジングされた今の大型車のほうが、維持費の総額は圧倒的に安く済みます。自動車税で年間2〜3万円の差がつきますから、重量税の差など軽く吸収してしまいます。
なお重量税は「車両総重量(人や荷物を含んだ重さ)」ではなく、車検証に書かれている「車両重量」(車体だけの重さ)で計算されます。ここを勘違いされている方が多いので、覚えておいてください。
▶ 税金も含めて、車を持ち続けると年間いくらかかるのかは元カーディーラー営業マンが語る!車の本当の維持費で全体像をまとめています。
だから今は「大きなボディ×2,000cc以下」が主流です

ここまでの話をまとめると、こうなります。
排気量さえ2,000cc以下に抑えておけば、ボディをいくら大きくしても自動車税は上がらない。
メーカーがこれに気づかないはずがありません。結果として、「全幅1.7m超(3ナンバー)×排気量2,000cc以下」が、いまの新車市場の事実上の標準になりました。
実際、街を走っている車のほとんどがこれです
- SUV…ヤリスクロス(1.5L)、カローラクロス(1.8L/2.0L)、ヴェゼル(1.5L)、キックス(1.2L e-POWER)
- ミニバン…ノア/ヴォクシー(1.8L/2.0L)、ステップワゴン(1.5Lターボ/2.0L)、セレナ(1.4L e-POWER/2.0L)
- コンパクト・ハッチバック…カローラスポーツ(1.8L/2.0L)、ノート オーラ(1.2L e-POWER)、インプレッサ(2.0L)
分かりやすい例を挙げます。ヤリスは5ナンバー、ヤリスクロスは3ナンバーです。ですが1.5Lモデルなら、自動車税はどちらも年間30,500円で同額です。
もっと極端な例が、2026年7月に16年ぶりのフルモデルチェンジを果たした日産・エルグランド(4代目E53型)です。
ボディサイズは4,995×1,895×1,975mm、車両重量は約2.2トンという堂々たる体格。ところが搭載されるのは1.5L直3ターボの第3世代e-POWERです。
つまり自動車税は年間30,500円。ヤリスやフィットの1.5Lモデルと1円も変わりません。689万円からという価格のフラッグシップミニバンが、コンパクトカーと同じ自動車税で乗れる。昭和の感覚からすると、まったく信じられない話です。
ほかにも、全長4.8mを超えるステップワゴンには1.5Lターボがありますし、エクストレイルも1.5Lの発電用エンジン(e-POWER)なので1.5L枠です。「大きい車=税金が高い」という感覚は、もう通用しません。
なぜここまで一気に進んだのか
3つの要因が重なりました。
① 税金面で一番コスパがいいから。年間30,500円〜36,000円という最安クラスの維持費のまま、大きなボディに乗れます。
② エンジン技術が進化したから。昔は大きな車体には2.5Lや3.5Lの大排気量エンジンが必要でした。いまはハイブリッドやダウンサイジングターボで、小さい排気量でも十分な力が出せます。
③ 世界共通の車体を使うようになったから。これが実は一番大きい理由です。次でお話しします。
ワイド化を後押しした3つの時代背景
① 販売車両のグローバル化
これが最も影響の大きい要因です。
いまの自動車業界は、世界共通の車体(プラットフォーム)を各国で使い回すのが当たり前になりました。日本のためだけに「全幅1,700mm未満」の専用ボディを開発するのは、コストの面で厳しくなったのです。
海外は道幅も駐車場も広く、高速走行時の安定性が重視されます。だから左右のタイヤ間隔を広くとった、幅のある車が好まれます。海外向けに開発した車をそのまま日本でも売る。その結果、3ナンバー車が自然と増えました。
② 道路とインフラが広くなった
高速道路網が全国に広がり、120km/h区間まで登場しました。幹線道路の車線幅も広がり、商業施設やコインパーキングの駐車枠も大きくなっています。
「街乗りでのコンパクトさ」より「高速でのどっしりした安定感」が求められるようになった。この変化は現場でも感じていました。
③ 日本人の体格が良くなった
昭和30〜40年代と比べて、日本人の平均身長は伸びています。
昔の車幅のままだと、体格の良くなった大人が前席に2人並ぶと肩が触れてしまう。後席に3人座ると窮屈になる。加えて、シートの厚み、ドアの内張りの質感、収納スペースなど、車内に求められる水準そのものが上がりました。それらを収めるには、どうしても幅が要るのです。
3ナンバー化で得られる4つのメリット
では、幅を広げると具体的に何が良くなるのか。営業マンとしてお客様に説明していた内容を、そのままお伝えします。
① 室内が横に広がって、快適になる
- 後席に3人乗っても窮屈になりにくい…肩まわりの余裕が変わります
- 前席がゆったりする…大きなセンターコンソールや肘置きを置けます
- シートそのものを大きくできる…座面の幅や厚みが増え、長距離で疲れにくくなります
② 走行安定性と乗り心地が上がる
車幅が広がると、左右のタイヤの間隔(トレッド)を広くできます。これが効きます。
- カーブでの傾きが減る…背の高いSUVやミニバンでも踏ん張りが効き、同乗者が酔いにくくなります
- 高速道路で横風に強い…直進安定性が高まります
- 乗り心地が良くなる…サスペンションの構造や動く範囲に余裕を持たせられます
③ 側面の衝突安全性能が高められる
技術的にはこれが一番大きいかもしれません。
横から衝突されたときに乗員を守るには、ドアやフレームの内部を厚く頑丈にする必要があります。幅に余裕があれば、衝撃を吸収する「潰れシロ」をしっかり確保できます。サイドエアバッグやカーテンエアバッグを配置するスペースも要ります。
安全基準が年々厳しくなっている以上、幅を削るのは難しい。これがメーカー側の本音だと思います。
④ デザインが良くなる
全幅1.7m未満という縛りがあると、どうしても「細長くて背の高い箱型」になりがちです。
幅に余裕を持たせると、タイヤの上のフェンダーを膨らませたり、低く構えたワイドなシルエットにしたりと、伸びやかで立体感のあるデザインに仕上げられます。展示場で「かっこいい」と言われる車は、たいてい幅があります。
▶ ミニバンがなぜここまで大きくなったのか、車種ごとのサイズ感については大きいのになぜミニバン⁉日本のミニバン事情とお勧めミニバン8選で詳しく解説しています。
この区分、実は海外にはありません

意外に思われるかもしれませんが、ボディサイズでナンバープレートを分ける仕組みは、海外にはほぼ存在しません。
「全幅1.7m・全長4.7mを超えたらナンバーが変わる」という日本の基準は、狭い道路事情と過去の税制に合わせて作られた、非常に独自の制度なのです。
- ヨーロッパ…ナンバーでは区別せず、業界内でA〜Fの「セグメント」という車格分けをしています。税金は排気量やCO2排出量で変わります
- 韓国…排気量ベースの区分はありますが、ナンバーの色が違うのは主に軽自動車やEVです
- アメリカ…そもそも幅を制限する発想がありません。区分は「自家用」「営業用」「トラック」など用途別です
ここで面白いのがヨーロッパ車です。向こうにはサイズの縛りがないので、車体は短いのに幅は1.7mを超えているという車が昔から普通に作られています。室内空間と走行安定性を確保するためです。
これが「輸入車のコンパクトカーは日本だと3ナンバーになる」理由です。「こんなに小さいのに3ナンバーなの?」というお客様の驚きに、私は何度も説明しました。日本向けだけに幅を削ったモデルを作るのは、コストが合わないのです。
税金の意味がなくなったのに、なぜ区分が残っているのか
もっともな疑問だと思います。理由は3つあります。
① 法律上の基本的な分類だから。ナンバーの分類番号は道路運送車両法に基づくもので、車両登録・車検・統計の管理という行政手続きの土台になっています。税金の計算方法が変わっただけで、分類そのものは生きています。
② 「日本で扱いやすいサイズ」の目印として便利だから。古い立体駐車場やフェリーの料金区分、コインパーキングでは、今でも5ナンバーサイズを基準にしているところがあります。メーカーがフリードやシエンタ、タクシー専用車のJPN TAXIを開発するときにも、5ナンバー枠は明確な目標寸法として機能しています。
③ 変える理由がないから。もし区分を撤廃したら、国や警察の登録システム、高速道路のETC、駐車場、保険会社と、全国規模でシステムを作り替えることになります。今のままで実務に支障がないなら、あえて費用をかけて変える必要がない。これが実情でしょう。
ちなみに、首都圏など大都市部では5ナンバー(500番台)が足りなくなったため、現在は同じ小型乗用車枠として「7ナンバー(700番台)」も使われています。7ナンバーを見かけても、中身は5ナンバーと同じです。
ここからが本題|車選びで見るべきは「全幅」です
お待たせしました。ここが実用的な話です。
税金の意味はなくなりましたが、5ナンバーのサイズ(全幅1.7m・全長4.7m)は、いまでも「日本の道や駐車場で絶対に困らないサイズ」を示す、最も信頼できる目安です。
全幅1.7m以下なら困りません
- 古い立体駐車場・機械式駐車場にそのまま入る…マンションや都市部のビルには、いまも「全幅1,700mm以下」という制限が多数あります
- 狭い裏道でのすれ違いが楽…道幅4m未満の道路は珍しくありません。対向車や歩行者を避けるときの心理的な負担がまるで違います
- コインパーキングでドアが開けやすい…駐車枠は幅2.5m前後。1.7m以下なら左右に余裕が残ります
ただし現実問題として、新車で買える純粋な5ナンバー乗用車は、かなり少なくなりました。シエンタ、フリード、ルーミー、ノートあたりが残っている程度です。
私がお勧めする2本のライン
そこで、こう覚えてください。
| 全幅 | 目安 |
|---|---|
| 1,700mm以下 | 完全な5ナンバーサイズ。どこへ行ってもサイズで困ることはまずない |
| 1,750mm以下 | 3ナンバーだが、日本の一般的な道路や駐車場ならストレスなく扱える限界ライン |
| 1,750mm超 | 快適さと引き換えに、駐車場と狭い道で気を使う場面が出てくる |
フィットCROSSTARやノア、ステップワゴンのように「3ナンバーだけど全幅1,720〜1,750mm程度」という車は多く、これならほぼ5ナンバー感覚で扱えます。3ナンバーという言葉だけで敬遠する必要はありません。
全幅1,750mmを超えると、何が起きるか

ここは正直にお伝えします。走り出せば快適ですが、止めるときと狭い道でストレスを感じます。具体的には5つです。
① 機械式・立体駐車場に入らないことがある
都市部のマンション、月極駐車場、古いビルの機械式駐車場は、全幅の制限が1,750mm以下または1,800mm以下に設定されていることが非常に多いのです。
- 1,750mmを超えると…1,750mm制限の駐車場が使えなくなります
- 1,800mmを超えると…大半の一般的な機械式駐車場に入らなくなります
「自宅マンションの駐車場に入らない」というのは、契約後では取り返しがつきません。これは購入前に必ず確認してください。営業マンに「うちの駐車場は幅1,750mm制限です」と伝えれば、必ず調べてくれます。
② コインパーキングで乗り降りが大変になる
一般的なコインパーキングの1枠は2.3〜2.5m程度です。
- 全幅1,700mm…両側に約40cmの隙間。普通にドアを開けて乗り降りできます
- 全幅1,800mm…両側に約35cm。体をすぼめてギリギリです
ご自分の乗り降りだけの話ではありません。お子さんやお孫さんの乗せ降ろし、チャイルドシート、大きな荷物の出し入れ。すべてに効いてきます。ドアパンチをする側・される側になるリスクも上がります。
③ 狭い道でのすれ違いに気を使う
日本の生活道路、特にガードレールのない道や旧城下町、住宅街の抜け道は、道幅4m未満の場所が数多くあります。
全幅が広いと、対向車とすれ違うときに路肩ギリギリまで寄せることになります。ホイールを擦る、ブロック塀に当てる。こういうリスクが増えますし、譲ってもらうのを待つ場面も増えて、運転の疲れにつながります。
④ 停める場所を探す手間が増える
スーパーや商業施設でも、両隣に車が停まっているとドアが開けにくくなります。
結果として「あえて入口から遠い、空いている場所を探して停める」ことになります。毎回のことですから、地味に効いてきます。
⑤ 運転感覚に慣れが必要
車体の左前の感覚がつかみにくくなります。全幅が広がると最小回転半径も大きくなる傾向があるので、狭い曲がり角、Uターン、洗車機で気を使う場面が増えます。
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全長の10cmより、全幅の5cmです
最後に、営業マンとして一番お伝えしたいことを書きます。
カタログを見比べるとき、多くの方が全長を気にされます。「5m近いのか、大きいな」と。
ですが実際に暮らしてみると、効いてくるのは全幅のほうです。全長が10cm20cm長いことより、全幅が5cm10cm広いことのほうが、はるかに大きな差になります。
なぜ全幅のほうが重要なのか
① すれ違いの難易度が劇的に変わる
全幅が5cm広がると、左右に2.5cmずつ外側に出ます。たった2.5cmと思われるかもしれませんが、狭い道では電柱や壁、対向車との距離が一気に詰まります。精神的な圧迫感がまるで違います。
② 乗り降りできるかどうかを左右する
駐車枠の幅は決まっています。全幅が10cm広がれば、ドアを開けるスペースがそのまま10cm削られます。
③ 立体駐車場は「絶対的な制限」だから
全長は多少長くても、枠から少しはみ出る程度で済むことがあります。ですが全幅にはパレットという物理的な枠があります。数センチ超えただけで、入庫を断られるか、タイヤやホイールを傷つけます。
全長が長いぶんは、機械が助けてくれます
一方で全長が10〜20cm伸びても、影響が出るのは縦列駐車や自宅ガレージの奥行き、小回りの利きやすさくらいです。
しかも前後の距離感は、バックカメラや障害物センサーが助けてくれます。今の車はここが本当に優秀です。ですから運転中のストレスにはなりにくい。
横方向は、機械では助けられません。物理的な隙間そのものが減るからです。ここが決定的な違いです。
まとめ|カタログの「全幅」の数字を見てください
この記事のポイントを整理します。
- 5ナンバーは全長4.7m・全幅1.7m・全高2.0m・排気量2,000cc以下のすべてを満たす車。ひとつでも超えたら3ナンバー
- 「3ナンバーだから税金が高い」は1989年に終わった話。今の自動車税は排気量だけで決まる
- だから1,500ccの3ナンバー車が普通に存在するし、税額は5ナンバー車と同額
- ただし重量税は車両重量で決まるので、重い車は車検時の負担が増える
- EV・FCVは最安区分(25,000円)。13年経過車は約15%重課
- いまの新車は「大きなボディ×2,000cc以下」が主流。グローバル化・道路整備・体格の変化が後押しした
- 車選びで見るべきは全幅。1,700mm以下なら安心、1,750mm以下なら実用上のライン
- 全長の10cmより、全幅の5cm。全長はカメラが助けてくれるが、横幅は助けようがない
営業マン時代、「3ナンバーだと税金が高いんでしょう」と言われるたびに、私は同じ説明を繰り返してきました。もう30年以上前に変わった仕組みなのに、この誤解はいまも根強く残っています。
逆に、いま気をつけていただきたいのは数字のほうです。ナンバーの種類ではなく、カタログの全幅の欄。
ご自宅の駐車場、よく行くスーパー、通勤路の狭い区間。そこに収まるかどうかを、購入前にご自分の生活に当てはめて確認してください。試乗のときに、実際にいつもの道を走らせてもらうのが一番確実です。
▶ 「いつも通る道を走らせてほしい」「自宅の駐車場に入れてみたい」——試乗では、そこまで頼んで構いません。断られることはまずありません。試乗の受け方や見るべきポイントは試乗車の正しい乗り方を元カーディーラー営業マンが解説にまとめています。
これだけで、買った後の後悔はかなり減らせます。
この記事が参考になれば嬉しいです。楽しいカーライフをお過ごしください。
この記事を書いた人:元カーディーラー営業マン(現・再雇用サラリーマン)35年以上、カーディーラーの営業マンとして数千人のお客様の車選びをサポート。3年前に定年退職し、現在は同じ会社の別部署で勤務中。現場で見てきたリアルな情報を発信しています。

